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「♪」
どうやら、今日のアリスは機嫌が良いらしい。
アリスは、どこかで聞いたことのある今、は見なくなった歌手の古い曲を口ずさみながら。お気に入りであるらしい古びたテディベアを抱いて、長い金糸のような髪を揺らしてパタパタと廊下を走る。
「何か良いことでもあったのかい?」
そう尋ねると、彼女はまるで子供のように笑いながら「別に」と応えた。
その顔は何か隠し事をしてそれを自慢することを覚えた純粋なくせに質の悪い子供のような微笑みのそれ。
まぁ、どうせまたろくでもないことでも思い付いたんだろう。
この前みたいに警察から電話がくるのだけは勘弁だ、と切に願う。が、
「まぁ、退屈はしないわよ?」
「そ」
たぶん、それは今日も変わらず、また何かやってくれるのだろうと思う。
それこそ、彼女の言う退屈しない程度には。
どうでもいいけど。
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