第一章

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   ふと気づく。  一番肝心な部分に触れるのを忘れていた。  どうして少女にIFがなかったか、だ。  一応、わたしの中の常識では有り得ないことになっているけど、わたしという例外がいる以上その存在は居てもおかしくはない。  その上で、問題は何故無いのかだ。  親しい人がいないとか、何に対しても無気力で、興味がないとか、そういうレベルの話ではない。無機物にだって一本以上のIFはあるのだ。  それが無いということは、何かしら特別な理由があるはずだ。そして、だからこそわたしは彼女に興味を持ったはずなのだけど。  特別な理由?  そう言えば、自分はつちのことだと言ってた。  つちのこにはIFがない?  いや、だからつちのこって何よ。  悩んでいる間にわたしの足は止まっていた。振り返っても、公園はさほど遠い位置にはない。  わたしは公園へと引き返した。  あの様子では、まだ彼女はいると思う。居なければ居ないで諦めがつく。  選択肢があるなら活用しなくちゃいけない。  このままうやむやに興味を消化させるよりは、引き返して何かしらの結果を得よう。  そう自分に言い聞かせるように、わたしは一歩ずつ公園へと近く。  まあ、居るか居ないかの二答だ。  そんなに構えるほど複雑な未来は待っていないはずだ。  そう思っていたわたしを迎えたのは第三の答えだった。  
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