最古の記憶

4/4
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
天然パーマネント…いやいや、母の話によると、   まだ私が一歳にも満たない、ハイハイを覚えたての頃。   私が寝てる隙に夕飯の準備をしていて、ふと背後に気配を感じ振り向くと、   よだれをダラダラ垂らした私が、テーブルクロスを引っ張っていたそうだ。   その上には出来立ての料理が並んでいる。   熱々のグラグラだ。   『危ない!!』   と、思った瞬間。   赤毛の天パ…いやいやいや、母は、   足元のロープを思い切り引っ張ったのだ。     何故?何故にロープ? と、疑問に思うであろうな。   私も『なんで?』と聞いたのだから。     ハイハイ覚えたてでウロチョロする私に痺れを切らしたオバハン…NOー!!母は、   私のお腹にロープを巻き付けておいたのだ。   どこに行っても、グイッと手繰り寄せられるように。     そのおかげで、 私は間一髪のところで命拾いしたのであーる。     その後。   だから、こんなテーブルクロスなんかいらないって言ったでしょ! だって、これは出産祝いに頂いたものだから…!   とかいう、   姑嫁戦争に発展したんだそうよ、奥様。     その前に…。 誰もロープの事は言わなかったのかい…。         おしまい
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!