Vol.壱 戦いの果てに

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ドカッ、ギギギー、グ~~~。爪がはがれそうになりながらも、大穴の縁に手をかけて、リズも無事に引っ張りあげ、二人ともたどり着いた。「ふ~、危なかったな。」胸を撫で下ろすと同時に、さっきまでは気がつかなかった、あの猫の鳴き声がした。すぐに空間を見渡す。ここは言わば二つ目の部屋になる。驚くほど広い部屋だ。しかし、薄暗く、どうにか中は見渡せるが、奥の方は霞んでいる。猫の鳴き声は奥の方から聞こえてきた。その方向に歩き始めた。百メートルほど歩くと、眼前に二体の像が姿を現した。身の丈二メートルほどの、一体は雷鳥、もう一体はぶどうのような、たわわな果実を沢山付けた、植物のような像だった。
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