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しかし、服の上からでも分かる豊かな胸元や、くびれたウエストは、彼女が女性である事を、これみよがしに主張していた。
だから、彼女とすれ違う人は皆、まずー彼女の恰好の異質さに驚き、次に、その見事なスタイルに、ため息をついた。
ただ、この田舎では、すれ違う人自体が少ないのだが。
と。その足が止まり、彼女が視線を少しだけ上げる。
その先には、一軒の喫茶店があった。
元々、外国人が建てた家を改築したという、お洒落な、または、この純和風の田舎には、不釣り合いなその店を見つめる彼女の瞳に、旧友を見るような光りが宿る。
「ただいま」
女性としては、少し低めの癖のある声。
当然、その声に応える者などいなかったが、彼女は、微笑むと、また軽やかな足取りで、その喫茶店に向かって行った。
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