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自然と苦笑してしまうのは、それが、いつもの事だと分かっているからだろう。
「まあ、もう慣れちゃったけどね~」
読んでいた本を置き、思い切り背伸びをしながら、陽子が言った。
新しいスタッフとなった彼女もまた、この数カ月の勤務で、すっかり慣れてしまったようだ。
「今日も、多分、こんな感じだろうから、帰ってもいいよ」
「また、そう言って、私を追い帰そうとする」
「そういう訳じゃないけど」
「ホントぉ?」
実際、この店に、二人もスタッフがいるというのは、人経費の無駄だから、彼女を帰した所で、なんの問題もない。
でも、誠は、本気で陽子を帰したいとは思わなかった。
彼女が、働くようになってからも、客の入りは相変わらずで、外見的な違いは、ほとんど無いはずだった。
でも、確かに、何かが変わっている。
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