店長、来たる。

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(俺も、陽子と二人でいる事に、なれちゃったのかな…) 「どうしたの? 誠さん」  突然、陽子にそう言われて、誠が驚く。 「え? 何が?」 「なんか、ニヤニヤしてたよ」 「え? 俺、ニヤニヤしてた?」 「してた」  顔が熱くなるのを感じて、誠は、そっぽを向いた。 「…気のせいだよ」 「えー、気のせいなんかじゃないよ。絶対してた」 「してない」 「してた」 「陽子、今日は、上がりね」 「うわ、職権乱用だ」  そう言って、陽子が笑い始め、つられて、誠も笑ってしまった。 (確かに…悪くないよな)  誠がそう思った時、扉についたベルが鳴り、二人に来客を知らせた。 「いらっしゃいませ」  二人同時に挨拶。  だったはずだったが、誠が言えたのは「いらっしゃ」の部分までだった。
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