†1章†

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離さないでほしい。 ずっと。 あたしを。 「…真琴ちゃん?」 ゆっくりと顔をあげれば 自然と近付いてくる 雅人先輩の顔。 目を閉じれば、唇に 軽い感覚を受ける。 軽い、軽い。 それは、ただのキス。 あたし達は、それ以上 何もした事がない。 それだけで十分だった。 この時までは。 彼が、あたしを追いかけて 離さないでいてくれるから。 信じていた。 安心していたんだ。
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