一人目

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その夜は不気味に感じられるほど静まりかえっていた。   ―某会社。 コンコンと社長室がノックされた。 「入れ」 社長の会津がそう言うと、失礼します、といって一人の男が入ってきた。   男の名前は田口一正。 たれ目で鼻が低く、顔には多数のホクロがある。 背もわりと低く、何故か地味という雰囲気をかもち出している。 田口はゆっくりと会津に歩み寄り口を開いた。   「社長、お呼びですか」 会津はいかにもという豪華な椅子に座り、田口には背もたれを向けている。
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