一人目

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残業がやっと終わり、午後9時を回ったあたりで田口は会社を出た。 家に向かい、会社のある表通りから人気のない裏通りに入った。   田口は足を進ませながら富永の事を考えていた。 しかたないとはいえ、やはり罪悪感が残る。 彼は大丈夫だろうか。 そう思っては深いため息をついた。 そろそろ家に着く。 しかし顔を上げると異変に気付いた。   ずいぶん歩いたはずだが、まだ家に着かない。 それ以前に見覚えのない場所に自分がいるのだ。
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