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第三章・転落現場
階段をのぼった木村は落ちた現場を見て呟いた。
「ふむぅ…確かにここから転落したみたいだな」
木村が止まったその場所はあと3段で二階に届いていた所だった。そこには、靴が床と擦れた跡があり、その部分が黒くなっていた。
「さて、何でここから落ちたのだろうか…?」
「きっと荷物が重くてよろけてしまったんじゃないでしょうか」
木村の部下の斎藤が言った。
「じゃあ、斎藤君。君は事故死だと考えているわけか?」
「さっき鑑識の人も言っていましたし、事故死以外あり得ませんよ」
「ふむぅ…」
実際、木村も十中八九事故死だと考えていた。しかし、はなから事故死だと考えていると、重要な証拠も見逃してしまう。木村は慎重に考えることにした。
「とりあえず、目撃者に話を聞いてみたいのだが…」
木村は斎藤に呟いた。
「分かりました。手配します」
斎藤は元気よく階段を駆け降りて行った。
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