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歌い始めると…翔太とサヨナラをした時、毎晩、毎朝、翔太が恋しくて、自分で選んだサヨナラのはずなのに受け入れきれなくて泣いてばかりいた自分を思い出した。
そして隣に座る今の翔太も結局あの頃と変わらず大事な彼女が居て…
なんだか分からないけどいろんな感情が溢れて来て、涙が出そうになって…
『ごめんトイレ…』
翔太の顔も見ずに、私は立ち上がり部屋を出た。
トイレに着くまでにもう、私の涙は溢れて止まらず…
鏡に写る自分がすごく情けなくて、余計に泣けた…
落ち着け…
止まれ…
そう思えば思うほど涙は止まってくれない。
翔太には泣き顔を見せたくない。
翔太のまえでは強い女でいなきゃだめなんだ。
どれくらいそうしていたか分からない。
目が赤いけど…部屋は暗いから分からないだろう。
私は翔太のところに戻った。
『ごめん遅くなって!』
私は笑いながら翔太の隣に座る。
「うん」
翔太は少し俯き、私の顔を見ずに頷いた。
『なんかジュース頼もうか♪』
私がメニュー表に手を伸ばそうとした時…
「由衣たん…」
翔太は悲しそうな目で私を見つめる。
『…どしたの?』
「…」
翔太は何も言わず私を抱き締めた。
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