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「翔たん…?」
『ごめんな。ごめんな。』
なぜかそう繰り返しながら…泣く翔太の頭を優しく撫でてあげた。
なんで"ごめんな"なんて言ったのか…泣いてるのか…それはわからなかったけど、私は翔太の背中に手をまわしギューと抱き締めた。
こうやって泣く翔太を何度見たかな…
それを見るたび私は自分が泣きたいのも忘れて、我慢して…こうやって頭を撫でてた気がする。
『翔たん…泣き虫なんだからぁ。』
翔太は私の肩に伏せた顔をゆっくり上げて…
「俺やっぱり…好きだ。由衣たんが…好き」
『…』
嬉しいとかいう感情じゃなくて、その言葉はまた私を切なくさせる…
好きだって何回言ってくれても、翔太の一番大切な人にはなれないんだもん…
だから何も言えなかった…
私も…今すごく翔太が好きだと思ってる自分の心に、気づいてしまうのも、出してしまうのも恐い…。
『チュウしよっか!』
私が笑うと、翔太の目から涙が溢れながら…
キスをした。
あったかいキス。
こんなにキスって…
幸せなものだっけ。
私から唇を離した。
『さっ!何か歌おう!』
私はリモコンを取る。
翔太は私の膝にゴロンと横になった。
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