帰路

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2006年5月某日 山梨県某駅 『とりあえず東京に戻らないとな…』 シンはボソッと独り言を言うと荷物の中から封筒を取り出した 『なんだよこれ…』 封筒の中身は日本円で十二万五千円 約二年間休み無しの「監獄」でシンが得られたものはたったそれっぽっちの金だった しかし「監獄」に入る前のシンの債務を考えればそれもしかたなかった 二千万… 一般のサラリーマンが節制してやっと定年間際に貯まるか貯まらないかの金 それを約二年で返し終えたのだから本来は良いといえよう しかしシンは違った 『あの時…あんな事さえなければ…ちくしょう…』 そう、シンは一時的には七千万という大金を手にしていたのだ その悔しさは並大抵のものではないだろう シンは封筒から金を取り出しグシャっとジーンズの後ろポケットに突っ込んだ 【とにかくまたあの賭場に戻れるまでにならないとな…】
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