オープニングディスターバンス

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「いやお前……人格があるから話せる訳だし、それを言ったらゴーレム属を馬鹿にしているようなモンだぞ?」 怪訝な表情を隠さずに、自分の言葉を強調する様に頷きながらそう言う。 第一話す事でも教養ってのは生まれるしな。とかもっとも気な事も繋げてみる。   「そだよね~。……なんだってそんな話が出て来たんだろ?」 シェリスが首を傾げながら一人ごちる。   「静粛に!これより、第二十四回新徒歓迎兼進級式を執り行う。まずは、学園長の御挨拶」 地声で講堂の喧騒を掻き消し、式を進める教諭。 返答しようとしたが間が悪い。言えないままだ。   壇上に一人の女性が上がり、演説台の前に立ち両手に抱えた一振りの剣を架け、マイクを寄せる。そうしただけで女性は数歩下がる。 剣の丈は長さ70cm程でやけに短いが、剣幅は広く、尖端に進む程太みを増している、ブロードソードと言われる剣種だ。   『本日は誠に日和も良く、心地良い日に恵まれまして……』 剣から声が発せられ、マイクが講堂の四隅に設置されたスピーカーに音を増大させて流す。 校門のガーゴイルに話し掛けられた生徒は最早何の抵抗も無く物言う剣の話を聞いている。   暫、剣が話した後に教諭紹介、生徒代表の抱負発表、そして理事長挨拶と相成った。  
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