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案の定、やはり図書棟に人影はほぼ無く、シェリスが走っているだろう足音と、
「きゃ~ゆるすてー」
すてー。
てー。
てー……。
エコーする悲鳴。
ああ、司書に追い掛けられているんだな。そりゃ必死だよ。
などと感慨深く思いながら大理石張りの床を歩く。
黒光りする床には埃や塵は一つも無く、艶消し加工された床は清潔さを放っている。司書達の努力の賜物だろう。
蔵書の量は数知れず、それでもこの五階建ての大書庫には空いている書架がある。
凄まじいまでの巨大さを持つこの図書棟全体を歩いて見ていては一月経つのなど瞬く間の事だろう。
だが、そういう広い場所こそ、有る確率は高い。
ざっくりと見て回り、さらに気になった場所を詳しく探そうと考え、まずは推理小説が並べられている書架へと足を運ぶ。
「ぽぎゃ~」
シェリスの間の抜けた声で叫んでいる。何時まで逃げ続けるつもりだろうか?
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