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「……おはようございます」
少女が小さな、物音一つしない場所だからこそ聞こえた小さな声で言った。
「お、おはよう」
俺は少し驚きながらもなんとか答えた。
「あんた、名前は?」
「……人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗りやがれ、です」
少女が、やはり小さな声で言った。
「ああ、悪い。俺の名前は有摩 火威琉。高等部一年生だ。改めて、あんたの名前は?」
俺は軽い自己紹介と共にもう一度名前を訪ねた。
「……高等部二年、賀霧楽 霧亜です。手前は何故こんな時間にここに居やがるですか?」
少女、霧亜は俺にそう聞いて来た。
「理事長が開いたゲームとやらで宝を探している。あんたはなんだってこんなところにいるんだ?」
「……昨日からずっとここに居たんでそんな物が行われているなんて知らなかったです。後ここは図書棟です。こんなところではありやがりません」
霧亜は何が気に食わなかったのか、俺の言葉に訂正を加えつつも返事を返して来る。
「……あの理事長の事です。何か特典的な物もありやがるのでしょう?それをさっさと吐きやがれ、です」
霧亜が何故か知らないが妙に荒い口調で言って来る。
「なんでも見つけた奴には単位くれるらしい」
俺がそう答えた瞬間、霧亜の目の色が変わった。
物理的にではなく、感覚的にだが。
「……単位。それならある程度までならここに居続けても問題無い……」
霧亜はなにやらぶつぶつ言いながら物思いに耽っている。
「都合が悪くなければ一緒に探すか?」
そこに協力申請を出してみれば、
「……望むところです。私の為にキリキリ働きやがれ、です」
微妙に言い回しが遠いが了承してくれて。
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