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そうして、推理小説のある書架から移動して、一旦受付側に出る。
そして螺旋階段を上り、二階の漫画、週刊誌の並べられた書架に入った。
「……何故この棚に来やがりましたか?」
霧亜が最もな疑問を俺にしてきた。
俺は渋面を顔に浮かべる。
「今日の理事長の服装を見た事があったんだよ」
心底嫌そうな顔をしていたのだろう。霧亜が怪訝そうな顔をしている。
書架の中、ある棚の前に立った。
そして一冊の本を手に取る。
表紙には虹色の燕尾服を着た紳士が笑顔で描かれており、背後は建ち並ぶビル群が爆発炎上しているという奇怪極まる絵面があった。
「……こんな格好していやがったですか」
霧亜が疲れた口調で言った。
そういえばシェリスの奇声が止んでいる。もう掴まったかな?
とか考えながら視界を巡らせた時、その漫画のレビューが書かれた紙が目に映り込んだ。
それを手に取って文面を見る。
霧亜も阿呆な表紙の漫画を棚に戻して同じ様に覗き込んで来たので少し紙を下げる。
『何も無いところにこそ答えはある!』
真新しい白い紙にはそう書かれていた。
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