―In to the Dream― Ⅰ

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誰かが暗い道を走っている。 広いのか狭いのか、草原なのか荒野か、はたまた雪原なのか、深すぎる闇の中を走っている。   その後ろからは銃声や叫び声、悲鳴すらも聞こえる。   知っている。 自分はこの空間を知っている。   なぜならこれは過去の夢。 走っているのは自分だから。   走っている自分の顔も見えない程の暗闇の中を走っている。 ただただ走っている。   「―――――、――――!」 誰かの声が聞こえる。 知っていた声が聞こえる。 それでも振り返らない。 胸が締め付けられる様な感じがする。   知っていた。 この声の持ち主を、自分は知っていた。 親しかったのか、嫌煙していたかも覚えていない。 最早それは過去の話。 忘れた筈の自分の残り香。   起きたら忘れているだろう。 単純な、誰でも一度は見る悪夢。   ずっと走っていた。 叫び声が聞こえなくなるまで。 悲鳴が聞こえなくなるまで。 銃声が聞こえなくなるまで。   暗闇が無くなるまで。
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