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出ていった直後、背後から爆音が轟いた。
何が起こったのか確認する気も起きず、周囲を見回して霧亜の姿を探す。
小さいから少しばかり手間取るかと思ったのだが、あれだけ本を溜め込んだバッグ(?)を背負った姿は予想外に早く見つかった。
小走りで進んでいくその背中に走って追い付き、声をかける。
「あんまり先に行かないでくれよ。追い付くのに苦労する」
不意にかけた声だったからだろう。霧亜はとてもわかりやすく驚いた。
「い、いきなり声かけんなです。少女趣向の変態かと思ったですぅ」
あんまりにも酷い言葉で答えた霧亜だったが、これが地の性格だと、火威流は彼女の胸に抱かれた遺影を探している内に知った。
だから、
「それはそうと、急いだ方が良いかも知れないぞ」
そう冷静に言葉を返せる。
「それはどういう事ですか?」
遺影を抱く手に無意識に力を入れながら疑問を口にする。
「そりゃあ、」
そこで一旦区切り、周りを見回す。
釣られて霧亜も周囲を見、息を飲んだ。
名前も知らない学園生徒達がこちらに向かって殺到してきているからだ。
火威流は学園各所に配置してある液晶画面の掲示板を見る。
高等部の皆さんへヒント2
そう表示してある下に、今まさに霧亜が抱えている遺影が映し出されていた。
舌打ちを一つ打ち、再度霧亜を抱える。
「ちょ、」
なにか訴えようとしたのを無視し、お姫様だっこで舗装された地面を駆ける。
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