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怒号と共にものすごい数の靴音が背後から響いてくる。
その中には機械の駆動音やおよそ人の出せるものとは到底思えないような重い音までもが聞こえるが、振り向くのが怖いので目標地点だけを真っ直ぐ見つめて走る。
観音開きの戸が開ききった大講堂へと邁進するが、足元で何かが弾けた。
それと同時に乾いた破裂音が鳴る。
勘弁して欲しいと思い、さらに速度を上げる。
と、怒号意外にも悲鳴が聞こえ始めた。主に耳元で。
何事かと仕方なく振り替えると、手に手に武器を持っている学徒だけが残っており、そいつらが悪鬼のごとき形相で追ってきていた。
まあ確かに、かなり恐ろしい状態だし、こんな声も上げたくなるだろうと思い、跳躍した。
その一跳びですぐ前にあった戸に飛び込み、即座に演説台へともう一回跳ぶ。
ついでにそこにいた虹色男を踏み潰す。
が、紙一重で逃げられた。
「ちっ」
舌打ちを一つ打ち、追撃を放とうとするが、霧亜が硬直してしまっていたので、追撃を諦めて霧亜を床に下ろす。
「し、死ぬかと思った、です」
青い顔で荒い息を吐きながらそう言った霧亜だったが、しっかりと遺影は抱き締めていた。
なにか声をかけようとした時、入り口の方で大量の足音が響いてきた。
見てみると、何人もの生徒が立っていた。
とは言っても、その一人残らずが膝を付き、天を仰いでいた。
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