4人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
その後、歩道に入り、白線の内側を歩いて駅舎に向かう。
その途中近所の数人に挨拶されたので、至って普通に答える。
駅舎に入り、切符の購入機に並んだ人だかりを見る。
朝のこの時間は人でごった返している。
定期券が無ければ自分もあの中にいたと思うとゾッとする。
そんな事を思いながら改札を抜け、ターミナルに行き、見た顔がいたので隣の椅子に座る。
「おう、おはよう」
腰を掛けながら挨拶する。
「お、今日は早いネー。進学早々に遅刻は流石に避けたいのかな?」
にぱーとか効果音が出そうな笑顔をそいつは浮かべた。笑顔が似合うイイ奴、そういうイメージを一瞬で与えて来る。
服装はこっちと同じ学校指定だが、デザインはかなり違いがある。
紺色のブレザーにロングスカート、さらにそれを覆い尽くす様な黒いローブ。やや大きめのポケットには何冊か本が入っている。
まぁ性別自体が違うんだから当然なんだが。
「フフッ、進学早々では無い。これからは無遅刻で登校してやるさ」
不敵な笑みを浮かべつつ、そう言ってやる。以前は遅刻が多く、自分で悲しくなる様な量だったからだ。
「おお~覚悟が違いますなー。そんじゃ、あたしも頑張っちゃおうカナ!」
がばっ、と立ち上がりながら言ってくれた。そうは言うがお前の方が遅刻率は高かっただろうに。
ハツラツとした表情でそんな事言われると、こっちもやり甲斐って物ができる。
「ふふん、明日遅刻すんなよ?」
「そっちこそ」
牽制し合っていると、
『六番線に列車が来ます。白線の外側にお下がりください』
というアナウンスが聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!