オープニングディスターバンス

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その後、歩道に入り、白線の内側を歩いて駅舎に向かう。 その途中近所の数人に挨拶されたので、至って普通に答える。   駅舎に入り、切符の購入機に並んだ人だかりを見る。 朝のこの時間は人でごった返している。 定期券が無ければ自分もあの中にいたと思うとゾッとする。 そんな事を思いながら改札を抜け、ターミナルに行き、見た顔がいたので隣の椅子に座る。   「おう、おはよう」 腰を掛けながら挨拶する。   「お、今日は早いネー。進学早々に遅刻は流石に避けたいのかな?」 にぱーとか効果音が出そうな笑顔をそいつは浮かべた。笑顔が似合うイイ奴、そういうイメージを一瞬で与えて来る。 服装はこっちと同じ学校指定だが、デザインはかなり違いがある。 紺色のブレザーにロングスカート、さらにそれを覆い尽くす様な黒いローブ。やや大きめのポケットには何冊か本が入っている。 まぁ性別自体が違うんだから当然なんだが。   「フフッ、進学早々では無い。これからは無遅刻で登校してやるさ」 不敵な笑みを浮かべつつ、そう言ってやる。以前は遅刻が多く、自分で悲しくなる様な量だったからだ。   「おお~覚悟が違いますなー。そんじゃ、あたしも頑張っちゃおうカナ!」 がばっ、と立ち上がりながら言ってくれた。そうは言うがお前の方が遅刻率は高かっただろうに。 ハツラツとした表情でそんな事言われると、こっちもやり甲斐って物ができる。   「ふふん、明日遅刻すんなよ?」 「そっちこそ」 牽制し合っていると、 『六番線に列車が来ます。白線の外側にお下がりください』 というアナウンスが聞こえた。  
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