言始め

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「つくづく思うがどうしてこうなるのかね……」 深い森の中、二人いる青年の内の一人がぼやく。 表情を見るだけで不快指数がメーターを振り切っているのが分かる。 「まあいいじゃないか、人生山あり谷ありだろ?」 「アルフ兄と一緒に行動してると険しい渓谷を歩いている感じがしてならないよ」 アルフと呼ばれた青年は文句を言われて怒っているのかと思いきや、笑ったままの表情だった。 「じゃあこの状況は俺だけの責任とでも?三日も武器無しで森の中をさ迷っているこの状況が俺だけの責任とでも?」 前言撤回しよう。 顔は笑っていても声はかなり怒っていた。 「……半分は俺が悪かったよ」 「半分?」 「あ~!はいはい!全部俺が悪いですよ!ごめんなさい!」 青年はまくし立てた後、肩を揺らしながら森の中を突き進んでいった。 アルフはそんな姿を見て、やはり笑いながら後についていく。 「ソウヤ、怒るなって」 「何が!?」 青年の名前はソウヤ。 この物語の主人公。
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