第一章「たったひとつの選択肢」

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   俺が感情操者(かんじょうそうしゃ)と呼ばれる仕事を始めてから、もうかれこれ今日でちょうど三年になる。  ちなみに感情操者とよばれる仕事は、それはそれはとても特別な仕事で、  “そうめったにこんな仕事には就けませんね”というのが俺の大先輩である小山さんの意見。  “感情操者は普通の仕事なんかじゃない。すごくすごく重要な、おそらく地球上で一番大切な仕事だよ”というのが俺の親友である隆幸(たかゆき)の意見だ。  実は俺も最近になってからようやくこの仕事が本当に特別なのだということを、じわじわと実感し始めたのだが、  やはりそれでもいまいち俺は、この仕事の重要性をよく理解できずにいた。  
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