第一章「たったひとつの選択肢」

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   ――今からちょうど三年前。  俺はバイクで派手な交通事故を起こし、二十歳という若さでこの世を去った。  なんだ、俺の人生ってこんなに薄っぺらいモノだったのか。  なんなら生きている間に、もっといい事しとけば良かったな。  まぁ、今さらこんな事を思ったって、もうどうしようもないんだろうけどな。  なんて、そんなことをブツブツと言いながら、あの世へ一人向かった俺。  だが、何故かこの世を出て俺が真っ先にたどり着いた場所は「亡者再就職センター」というバカでかい建物で、見たところ優位に数千メートル以上あるであろうそのバカでかい建物は、上空で輝く太陽の光をいっぱいに受けて、気持ち良さそうにキラキラと輝いていた。  俺はしばらくその光景に釘付けとなり、ポカンと口を開けて、ただただ呆然とそのバカでかい建物を眺めていたが、やがて俺はよしと決意を決めて、そのバカでかい建物へと向かって、一歩また一歩と足を踏み出した。  そう、それが俺の新しい第二の人生の始まりになるだなんて、その時俺は、まったく想像すらすることができなかったのだ。  
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