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雲一つない空、青く乾いた風。良い天気。
こういう日はコインランドリーに行くと良いことがあるというのがマイジンクスだ。
家から自転車で三分程の位置にあるコインランドリーにする。入ると丁度誰もおらず、どのランドリーも回っていなかった。
「いやぁ、何て良い日なんだろう」
僕は備え付けのテレビのスイッチを入れた。ニュースがやっていた。
「たった今入ったニュースです」シリアスな顔をした男性キャスターだ。彼はシリアスな声で言った。
「都内で起こっている外国人による連続銀行強盗の新しいニュースです」
それは今一番ホットで誰もが早く解決してもらいたいと思っているビッグな事件。
都内大手の三銀行にそれぞれ別々の外国人が強盗に入った。どの銀行も同じ手口、更にほとんど同時刻に一人の手によって行われた。つまりこれらの強盗事件は同じ犯行グループである疑いが強いという訳。
「警察庁による特別チームは彼らが同一の犯行グループであるとし捜査を進め、今朝彼らが宿泊しているホテルに踏み込んだようですが、一足違いで彼らの逮捕に失敗したようです。これに対して捜査本部長は内部の情報が漏洩した可能性もあるとみて…」
「話題の尽きない事件だねぇ…」かれこれ二週間もこの事件でニュースは持っている。それにしても、一人で誰も傷つけずに強盗を成功させるなんて強いんだろうなあ。
「…警察では、彼らの特徴を公表することとしました。東部銀行に強盗に入ったのは中東系の男性で、身長は低めであるそうです。花円元橋銀行に強盗に入ったのは身長の高く痩せ型の中国系の男性であるそうです。最後にPSS銀行に強盗に入ったのは黒人の男性で身長は高く、スキンヘッドであるそうです。彼らは武器を持っている可能性もあり不用意に近づいたりするのは危険ですので見かけた際は110番かお近くの交番までお知らせ下さい…」
―ピピッピピッ
その時丁度洗濯が終わった。
「やだねぇ、物騒な世の中だよ」脱水されて全部くしゃくしゃにまとまった服をほぐしながら持ってきた洗濯物入れに入れていく。
―ガラガラ
その時コインランドリーのドアが開いた。誰か来たんだろうな位に思っていたら、その人に声をかけられた。
「アノ、イイスカ」
片言がやけに気になったので振り返ると、やけにいかついスキンヘッドの黒人。…ん?
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