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亜希の言葉で奈津のこめかみに血管が浮き出る。
これ以上、亜希の事を放置していれば奈津を刺激し、春日が余計危険になるのだ。
「オッス、朝から両手に花なんて羨ましいぜよ。ハルやん!?」
春日達の前に現れたのは一樹と玲奈だった。
春日の事をからかう一樹、玲奈は奈津と楽しそうに会話しているが、その注目は亜希に向けられていた。
「ハルやん。その子、誰?」
そう言えば制服は春日と同じ、しかし同じクラスでは見た事が無い。だが、何だか引っ掛かっている。
「あっ、はい。申し遅れました。私は愛沢 亜希、高校二年のピチピチガールでぇす!?」
学校での亜希は一般的にギャルと言った人物である。
その前に年下だとは思っていなかった。
奈津の事を先輩と言っていたので大学一年だと思っていた。
「ハルやん……姉ちんに飽きて年下に手を出すなんて、最低だぞコノヤロウ!?」
一樹の飛び蹴りに玲奈は脇腹へ強力な一撃をお見舞いし、一樹はコンクリートの壁に激突した。
「そんな事言わないの。ハルやんにも何かあったんだろうし……でも、妙にラブラブしてるわね。貴方達……」
玲奈に嫉妬のような視線で見られる。
学校や家でもゆっくり出来そうに無い。
「お姉ちゃんの浮気者ぉ~!?」
背後からの叫び声、振り向いた時に鳩尾に肘鉄が直撃した。
「ぐほぉあぁ!!?」
呼吸が十秒ほど停止した。
更に加えようとする何かの一撃を春日は一樹を盾にする事で防いだ。
「うぎゃあっ!!?」
一樹を盾にした事で春日のHPは無事だった。
しかし、何かの攻撃は一樹の急所に当たった。一樹は倒れた。
そして、視線の先には敵意剥き出しの小さいのが立っていた。
「くぅおらぁ!?小雪の事見て小さいとか思うなコラァ!!?」
どうにも顔に出ていたようだ。
ってか、言ってもいないのに自分から言う場合は認めているのでは?
「だからぁ!?その同情した目は止めろぉ!?お前か、お姉ちゃんをたぶらかす誘拐変態魔人とは!!?」
この子は激しく誤解をしているような気がする。
それに困った春日は亜希に助けてくれと目で合図するが……。
「小雪、何言ってるの?春日は私をたぶらかしてなんかいないわ」
おぉ、やっぱり亜希は頼りに……。
「私が春日をたぶらかしているの」
なっているのか分からないが、どうにも方向性を間違えているような気がする。
ちなみに小さいのは愛沢 小雪……亜希の妹で高校一年との事。
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