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この話は今から二年程、前のお話。
十五歳の青年が居ました。
中学三年の時、同級生の女の子で初めての彼女が出来ました。
しかし、付き合う事の恋愛を知らない青年は彼女に触れる事が出来ません。
彼女の方は触れてほしいのに、青年は一緒に居るだけで良かったのです。
そして、青年は中々、本当の自分を見せる事が出来ませんでした。
「―――貴方って、変な人ね」
当時の彼女にそう告げられても青年は何が何だか分かりませんでした。
考えても考えても意味が分かりません。
しかし、彼女の心も不安だったのです。
クラスで明るく、皆に優しい青年の事をもっと知りたかった。
ただ一緒に居るのが付き合いだと思っていた青年。
青年の事をもっと知りたかった女の子。
気持ちのすれ違いは何度も繰り返していました。
そして、青年は意を決して女の子をデートに誘いました。
女の子はドキドキしながら、お気に入りの洋服に着替え、青年との待ち合わせの駅に行きました。
約束の時間の十分前に女の子は駅に着き、辺りを見回すと、髪型や顔、服装がモデル並にカッコイイ男性を見付けました。
「よぉ……やっぱりお前の事、忘れられなかった」
男性は女の子の前の彼氏で、フラれた事が納得出来ずに努力して、再度、女の子に会いに来たのです。
「わ、私は……」
女の子は戸惑っていました。
しかし、男性の方から抱きしめて来たのです。
女の子は抵抗しませんでした。
そして、二人の唇は重なり合いました。
「す、すいま……っ!?」
そこに青年は現れました。
目の前には抱き合ってキスをしている女の子と男性、無意識に青年は隠れました。
女の子も頬を赤く染め、男性の運転するバイクでどこかに去ってしまいました。
やっと一歩踏み出す決意を固めた日の昼の出来事でした。
女の子は男性の事を忘れられなかったのです。
そして、悲しみを紛らわす為に青年と付き合っていたのです。それを聞かされたのは女の子と別れて三日後の事でした。
でも、青年は女の子の事を嫌いませんでした。
それが学校での青年の顔だからです。
ヨリが戻って女の子は毎日が楽しそうでした。
しかし別れてから一週間後、突然、女の子は学校に来なくなりました。
話に寄ると、女の子は数人でレイプされたのです。
青年は自分を酷く責めました。
自分があの場に行っていれば、女の子はレイプされずに済んだのかも知れません。
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