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「貴女は朝の……この家で何をしているんですか!?」
奈津の拘束を振り解こうとしても、春日を押さえ付ける力は衰えず、再度、春日の唇を塞いだ。
「んっ……んん……っ!?」
一度目よりも長いキス、初めての感覚で頭が混乱し、腕の力も自然と抜けていく。
身体の中を電気のように走る何かに堪えながら、春日は言葉を紡いだ。
「もぅ、一度だ、け……聞き、ま、す。何で、貴女が、こ、こに……居るん、で、す……か?」
涙で潤んだ瞳で奈津の事を見る春日、しかし、奈津は春日の質問に答える事なく行為を進めていく。
そして、奈津の細い指が何かを探るかのように春日の服の中に侵入してくる。
「や、やぁ……だ。ん……んふぅ、はっ……あっ!!?」
春日の身体がビクッと痙攣したのを満足そうに見ていた奈津は、やっと質問に答えた。
「はい。質問に答えなきゃね。弟君のおじ様と奈津のお母さんが結婚したから、必然的に奈津達は義理の姉弟になるって事なのよ」
簡潔に説明を伝える奈津、その事実を聞いて、春日は少し考え事をしているらしかったが、服が乱れているのを見た奈津は、また我慢が出来なくなって来ていた。
「なるほど……了解しました。では、貴女は僕の義姉さんと言う事ですね?」
この対応能力には流石の奈津をも驚愕させる。
「そだよ、これからよろしくね。春日君」
そして今一度、唇を重ね合わせた。
春日はもう抵抗はしない。
義姉と決まった以上、拒む必要がないからだ。
そして、三度目のキスは優しかった。
優しくて、情熱的で、 何もかも奪われてしまうような甘いキス。
「ぁ、ん……んっ、んん……っ」
全身に何かが走る。
それに堪えようとする度に切なそうな吐息が漏れる。
こうして、二人の生活が始まった。
とにかく今日は服を着替える為にそれぞれの部屋へ戻る。
一足先に着替えを済ませ、キッチンで料理の準備をしていたのは春日の方だった。
「……………」
料理の準備をしながら、不意に自分の唇に触れた。
微かに残っている奈津の感触、初めての経験、本当は少し怖かった。
でも、優しかった。
温かく抱きしめられて、そして愛の篭ったキス、それは弟としてなのか、一人の男として見ていたのかは分からなかった。
自分の顔を鏡で見ると、真っ赤になっている気がする。
奈津と再び顔を合わせる時には、ちゃんとした姉弟の関係に戻さなきゃ……。
「血が繋がっていないとは言え、僕達は姉弟なんだから……」
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