0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
深く暗いそこにその場所はあった
町並みがあり、上を向いても地上は見えず
誰もがその場所から出ることができずに
ただ一生を終えていく
「俺は外に出るよ」
そう口にしたのは背中に剣をもった男だった。
「無理よ!何人の人が挑戦して失敗したか知っているでしょ!」
彼の言葉に、長く白銀に輝く髪をした女性が言った
「無理かどうかは、やってみないと分からないだろう?」
「俺は地上を見てみたい」
彼は彼女の言葉を理解しようとはせずに言葉を発していく。
「何があるか分からないのよ…」
「お願いだから…行かないで…」
今にも泣きそうな声で彼女が男に言い返す。
「悪い、俺って馬鹿だから…だけどな、絶対帰ってくる」
男は彼女に向かって優しい声で話しかける。
「お前を必ず迎えにくるから」
男はそう言いながら彼女を抱きしめた。
彼女は男に抱きしめられながら、声が嗄れるまで泣き続けた。
彼女の肩を優しく叩くと、男は彼女に向かって微笑み
とても暗い暗闇の道を歩いていった…
最初のコメントを投稿しよう!