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気が付くと、そこは薄暗い部屋の中だった。
僕は手術台の様なものの上に仰向けに寝かせられ、手足を広げた状態で拘束されている。
顔を動かす事すら出来ない、かろうじて眼球だけを動かし、周囲を確認する。
非常灯の様な明かりしか無いので良くは分からないが、天井から無数の機械や道具がぶら下がっている様だ。
その歪な形のせいで医療器具にも拷問器具にも見える。
前者でも後者でも笑えない冗談だ。
カツカツカツカツ…
不気味な音が此方へ近づいて来る。
どうやら足音の様だ。
カツカツカツカツカツカツカツカツカツ…
音がいやに反響しているので何人いるのかも全く分からない。
カツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツ…
少なくとも一人では、ないだろう。
僕のすぐ側で足音が止む。
突然、眼前の巨大な照明がついた。
余りの強い光に目が眩んでしまう。
不覚にも呻き声をあげそうになって、初めて気が付いた。
…声が、出ない。
要らぬ事に気付いてしまったせいで、余計に恐怖心が煽られる。
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