第一幕・始まり

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 気が付くと、そこは薄暗い部屋の中だった。  僕は手術台の様なものの上に仰向けに寝かせられ、手足を広げた状態で拘束されている。  顔を動かす事すら出来ない、かろうじて眼球だけを動かし、周囲を確認する。  非常灯の様な明かりしか無いので良くは分からないが、天井から無数の機械や道具がぶら下がっている様だ。  その歪な形のせいで医療器具にも拷問器具にも見える。  前者でも後者でも笑えない冗談だ。  カツカツカツカツ…  不気味な音が此方へ近づいて来る。  どうやら足音の様だ。  カツカツカツカツカツカツカツカツカツ…  音がいやに反響しているので何人いるのかも全く分からない。  カツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツ…  少なくとも一人では、ないだろう。  僕のすぐ側で足音が止む。  突然、眼前の巨大な照明がついた。  余りの強い光に目が眩んでしまう。  不覚にも呻き声をあげそうになって、初めて気が付いた。  …声が、出ない。  要らぬ事に気付いてしまったせいで、余計に恐怖心が煽られる。
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