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俺は知らなかった。
彼女が・・・彼女が自殺したことを。
死ぬ間際、彼女は俺の名前を叫んでいたらしい。
俺は彼女と結婚するために、その資金を集めるため遠い所で仕事をしていた。
しかし、忙しさのあまり彼女からの電話でつい怒ってしまった。
彼女の気持ちに気付かぬまま・・・。
そして彼女は自殺した。
俺が彼女が自殺したのを知ったのは、彼女が死んで2日後の事だった。
仕事で疲れた俺は、携帯の電源を切ったまま、いつも眠っているから、電話が通じない。
俺は彼女の通夜には行かなかった。
いや、行けなかったのだ。
行ってしまったら、彼女の死を認めてしまうから・・・
俺はすぐに仕事を辞め、家に閉じ籠った。
何人も友達が慰めに来たが、俺は立ち直れなかった。
毎日毎日彼女の姿が思い浮かぶ。
もうあの頃には戻れないと思いながら、ただ日にちだけが過ぎていく。
そんなある日、俺はいつの間にか外にいた。
そして目の前には木で出来た家が一軒、ポツーンと建っていた。
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