告白

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 ようやく二匹が落ち着いた頃には、地面から熱気がゆらめいて、辺り一面、草いきれがたちこめていた。  「暑くなって来たね。入ろうよ。」  カナヘビはそう言うと勢いよく水瓶に飛び込んだ。涙で濡れた顔を何とかしたい、という気持ちもあった。一度深く潜ってから顔を出してハンミョウを見た。しかし、誘われたハンミョウは入ろうとしなかった。  ハンミョウは決心した。  カナヘビはどんな思いで自分の過去をうち明けたのだろう。カナヘビにしてみれば誰かに聞いてもらいたいのと同時に心の傷でもあったであろう出来事を、他の者に話すことにどれだけ躊躇したことか。しかし、そんなことはものともせずに、ハンミョウに真正面からぶつかるようにうち明けた。ハンミョウはそんなカナヘビにすべてを話すことを決心した。今、この時を逃したら言えなくなってしまう。一生後悔する。そんな思いがハンミョウの頭をよぎった。大きく深呼吸をしてハンミョウは、水瓶の縁に腰掛けたまま、元気に泳ぐカナヘビが聞こえるようにと、大声で怒鳴るように言った。  「ごめんよ。あの・・・」  突然の声に驚いたように動きを止めたカナヘビだったが、ニコリと笑って首を振りながら答えた。  「遅れてきたことかい?それとも、ずっと不機嫌に黙ってたことかい?もういいよ。」  それもあるけどと、ハンミョウはカナヘビに聞こえないように言った後、また大声で続けた。  「もっと大事なことなんだ。謝らなきゃならないことがあるんだ。君が俺に洗いざらい告白したのと同じように俺にも君に言わなきゃいけないことがあるんだ。」  ハンミョウのただならない様子にカナヘビは泳ぐのを止めて、素早くよじ登り、ハンミョウの隣へと移動して腰掛けた。日はじりじりと二匹を容赦なく照らし、水からあがったばかりのカナヘビの体からはもう湯気が立っていた。   「何だい?」  カナヘビはハンミョウの顔をのぞき込んだ。ハンミョウの目にはすでに涙が溢れていた。カナヘビはそれを見て、どうしたらよいのかと戸惑って、あたふたしていたが、ハンミョウはカナヘビを力強く掴むと、グイッと引き寄せて座らせて、いいから聞いてと囁いた。ハンミョウは涙を拭うと表情を引き締めた。
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