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朝、修学旅行に出発する葉月さんを見送るために早めに登校した。
「葉月さん・・・」
「今生の別れってわけじゃないんだけど。」
「4日も会えないじゃないですか!」
なんだいなんだい!葉月さんは寂しくないのか!
「おい、葉月。点呼だって言ってるけど。」
「リーダーいないと始まらないでしょ!葉月くん!」
クラスメイトらしき人たちが葉月さんの周りに集まってきた。
え、ちょっと女子、近すぎでは・・・?
前までは葉月さんも近づき難いオーラあったからこんなにフレンドリーに話しかける人(麻生さん除いて)いなかった。
でも、最近というか学年上がるくらいから少し雰囲気が柔らかくなった様な気がしてた。
でもそれは、"様な気がする"んじゃなくて"そう"なんだって確信した。
いい事なんだけど、女子が集まるのは嫌だなぁ。
「分かった。今行く。」
「あれ、ミスコンの小泉さんじゃん?葉月の見送り?」
ミスコンのことは忘れてください。
黒歴史すぎる・・・!
「・・・マコト、もう戻って。」
「えー・・・分かりました。」
点呼ってことはもう出発時間に近いんだろう。
あたしは大人しく教室に行くことにした。
「小泉さんって葉月の彼女なの?」
「えっ、と・・・」
「そうだけど?」
あたしがどう答えたら良いか分からず口籠ると葉月さんが代わりに答えた。
はっきり言ってもらうのって恥ずかしいけど嬉しいな。
「へー!ざんねーん!俺、小泉さん狙ってたのにな~?」
「は?」
葉月さんが睨むと男子生徒は「おー怖っ!」と言って集合場所の方に向かって行った。
「・・・葉月くん彼女いたんだ~!でも意外!ミスコンに出るような子タイプじゃないと思ってた~!」
え、これ・・・あたしディスられてます?
「やっぱミスコン出るだけあって可愛いね!」
そんな発言された後に言われても嫌味にしか聞こえませんし、目が可愛いとは言ってませんけど。
「じゃあ、行ってくるね。また、夜にでも電話するから。」
「・・・!はい。」
葉月さんはやっぱりマイペースだなぁ・・・
まるでこの女生徒A(仮)がいないかの様に話すんだもんなぁ。
「葉月くん!ほら、早く行かないと先生に叱られちゃう!」
そう言って葉月さんの腕を組む、女生徒A(仮)・・・
え、何それ・・・
「・・・触るな」
そう言って腕を振り払いながらバスへと向かう葉月さんと女生徒A(仮)
それでもめげずに何やら話しかけてる。
女生徒A(仮)はチラリとこちらを見て笑った・・・気がした。
心配だ・・・
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