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ボロボロの汚れた布を纏った少女は、同じく擦り切れた布に巻かれた細長い荷物をがっちりと握り締めていた。
覚束ない足取り。
痩せ細った体はまるで枝のようで、こけた顔に浮き上がる大きな瞳はギラギラと、異様な光りを帯びているように見えた。
ただ、その悲惨な姿もこの時代には珍しいことではなかった。
貧困で苦渋の末に捨てられる子供、親が殺された子供。
そんな過去を持つ子供達は多くいる。
それだけ世の中が荒れている時代だった。
この少女もまた、似たような経験の末、この場を一人、歩いているのだろう。
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