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その銀行は100メートル四方の駐車場の真ん中に立てられていた。 そして駐車場から50メートル程離れ、パトカーを盾にした警官が銀行を囲っていた。 「状況は?」 「最悪ですよ……」 マークの問いに年老た巡査長が答えた。 「2時間前に銀行強盗の通報がありまして、通報から5分後にデービスとマギーが現場に到着したんです。 犯人は既に一名を射殺したとの情報もありました 現場に到着してみると何だか様子がおかしい。 行内に人の気配がなかったそうです。 で、銀行内部の様子を探ろうと近付いたところ……」 「彼等は判断を誤った……」 マークは巡査長の言葉を繋いだ。 「ええ、あいつらは応援を待つべきだった……」 巡査長は下を向き涙を堪える 「次の犠牲者は?」 「応援に駆け付けた警官ですよ…… ロブとバスター……」 巡査長は銀行の正面玄関に目をやった。 ソコには男性警官3人の死体と、両手足を撃たれ、血溜まりの中で弱々しく呼吸を続ける婦人警官が仰向けの姿勢で横たわっていた。 「マギーですよ…… ロブとバスターが到着した時、マギーは両足を撃たれた状態で入口近くで倒れていたらしいです。 彼等はマギーを救出しようとして狙われた…… まるでベトナムですよ……」 巡査長は苛々した様子でポケットからタバコを出し口にくわえたが火は着けなかった。 「女房の奴が煩くってね、禁煙中なんですよ」 「私も作戦中は禁煙してます…… で、犯人から何か要求等は?」 「要求? 犯人からの要求なんてありませんよ…… 奴は行内の電話線を切りやがった上に人質となっている銀行員全員の携帯まで電源を切らせている様で…… 私は思うんですがね、奴は要求なんて無いんじゃないか?って考えてるんですよ…… 後は署長と話してください……」 巡査長は煙草のフィルターを歯で弄りながらため息をついた。 マークは巡査長に礼を言うと署長である、ニール・デイビスの所へ向かった。 ニールは黒の戦闘服を着込んだマークが自分に近付いて来るのを見て少し安心した。 「遅くなりました、署長。 私が部隊の指揮官をしている、マーク・ガレスビーです」 「待っていたよ……」 署長は溜息を吐きマークを見つめた。
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