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彼女からかばんを剥ぎ取り階段の2、3段上のところに置いた。
後ろを向いて掃除機の本体を手に取った。
強引に持ち上げるとホースが本体から外れて僕を部屋に入らせないように前に立ち塞がった。
僕はゆらゆら揺れるホースを掴むと、暗い部屋の中に入って行く。
歩く度に真っ暗な中、埃が舞い、鼻がむず痒い。
かび臭くて頭が痛くなってくる。
彼女に殴られたのと、どっちが強く自分に痛みを与えているのであろうか。
ふとそう思った。
入口付近にある電源スイッチを探す。
するとそれはすぐに見つかり、押すとどこか機械的な音を鳴らせた。
中央にある電灯が数回またたいて部屋は明るくなった。
電灯が切れかけているのかして、二重の輪になっている蛍光灯の片方がまだまたたいている。
僕は薄明かりの中、からっぽの部屋でコンセントを探す。
ざっと見渡すと、右手に見えたので、掃除機を引きずりながらそちらに向かった。
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