死体Aの場合

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“死体A” これが、そこにいる私に与えられた名前だ。 本当の名前はもう忘れてしまった。 あの人もこう呼ぶし、私もこれでいいと思う。 “死体”と言っても、まだ私は正式に死んでいるわけではない。 私は例えるならばあの人の芸術作品の一つであったり、ペットと呼べるものである。 そして芸術作品として見た私は、まだ未完成の作品だと思う。 それはまだ、最後の一筆が私に入れられていないからだ。 最後の一筆とは、もちろん。 “命”である。
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