日記

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布団を部屋の中央に下ろし、彼女の目隠しを解いてあげた。 彼女がまたいろいろと言ってくるが、あまり聞かない事にした。 僕は彼女が落ち着くのを上でゆっくり待とう。 黙って布団を敷いてから真っ直ぐに部屋を出る。 でも思い起こした。 彼女は女である。 つまり当然のように “ブラジャー”と言うものを着用しているはずである。 そこには針金が入っているものである。 鍵をかけたとして、逃げ出されるかもしれない。 僕は急いで振り返ると彼女を襲った。 着衣を上げ、手を後ろに回し、ホックを外す。 そして、それは一瞬の出来事だった。 彼女の足が真っ直ぐ上がるのと額に衝撃が走り、僕が後ろに倒れ込むまでは。 何が起きてるのかわからなかった。 痛みを覚えながら体を上げると、彼女が息を荒くして見つめている。 その瞳は、 憎しみや哀しみ、それに類する負の感情のものを含んでいて、 僕は少しぞっとした。 それと同時に怒りも覚えた。 その怒りは、僕を僕ではなく、違う誰かに変えた。
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