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気がつくと彼女の上に馬乗りになっていた。
それまでに何が起こったのかは覚えている。
でも、あの時僕は無意識だった、何も考えてなかったんだ。
やりたくてやったわけじゃない、信じてよ。
そんな目で、僕を見ないで。
僕は、僕は。
手からナイフが零れ落ちていく、床に落ちると鈍く渇いた音を立てた。
僕は手で顔を覆った、
と言うより無理矢理押さえつけた。
力ずくで押さえても、隙間から僕の悲しみは溢れ出してくる。
僕は奮えているんだと思う。
あんな事は彼女の愛嬌じゃないか。
怒るのはおかしいよ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
彼女に嫌われちゃう。
僕は彼女に好きになってもらいたいんだ。
これでは嫌われてしまうじゃないか。
僕の悲しみは彼女に零れ落ち続ける。
なんで、僕はあんな事をしてしまったのかな。
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