死体Aの場合

4/4
前へ
/188ページ
次へ
食事はあの人が届けてくれる。 毎回、健康を考えたおいしいメニューを用意してくれる。 それを少しずつ口に運んで食べさせてくれる。 あの人は“生かすと殺す”反比例する行為を私にしている。 少しおかしい。 でも、わかる事が一つだけある。 あの人は私をまだ必要としている。 いつ捨てられるかわからない恐怖感と、必要とされる高揚感をあの人は私にくれる。 私はあの人に命を奪われるのは構わない。 何の意味も与えられず。 ただ朽ちていく。 それが1番怖いのだ。 こちらに足音が近づいてくる、この音を聞くと私はすごく安心する。 “あの人だ”
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

558人が本棚に入れています
本棚に追加