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最近、彼に出逢った日をよく思い出す。
私は旦那が亡くなったとき、哀しさではなく寂しさを感じた。
愛していなかった。
けれど、側にいた。
旦那も私を愛していなかった。
だから日に日に私から離れていったし、他に女を作った。
その女と密会中に事故に遭い、旦那もその女も亡くなった。
『冷めた嫁よね』
葬式のときに聞こえたそんな声も、私には、鼻で笑える余裕があった。
私を冷ましたのは旦那じゃない、と。
だけど、一人になるのは寂しい。
一人になるくらいなら、旦那がいた方がマシだった。
私が一人が苦手なのは、幼い頃の両親の離婚が原因だと思うが、元々寂しがり屋なのではないかとも思う。
とにかく私は一人になりたくなかった。
だからあの日、彼をバイトに誘った。
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