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大きな段ボール箱を抱えて、まるで彼女みたいに冷たい廊下を歩く。
前が見えないせいで、人にぶつかり、謝り、事情を知っている皆さんに同情を含んだ笑みで許してもらい……そんなことを繰り返していると、周りと雰囲気が違う、どす黒い空気が漂う部屋の前に着いた。
息を吸って、吐く。
それを二回程繰り返して、俺は扉をノックした。
「斜山(はすやま)です」
「……どうぞ」
小さな声が聞こえた。
どうせ書類の整理でもしているのだろう。
……俺の好きな、冷めた声。
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