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部屋に入ると、彼女は俺を睨みつけた。
「遅いわよ」
「すいません、学校、長引いちゃって」
彼女は俺の言う事など、全面的に無視で、書類の整理をしている。
「やっぱりそうだ」
「え?」
「真奈美さんの声で分かるんです。今、何をしているのか」
彼女はちらりとこっちを見ると、紙を一枚差し出してきた。
「冬休みの予定」
「あー、ども」
彼女は手を止めて、俺を見た。
「大学、行かないって言ったわよね」
俺はぎっしり詰まった予定を見ながら、頷いた。
「もちろん、ここに就職するのよね」
「……いいんすか?」
……大晦日にまで、予定が入っている。
「条件があるけど」
「……条件?」
予定――なんか、おかしくないか?
「年越し蕎麦とおせち、……あとお雑煮、作ってくれるなら」
大晦日の予定――
家事手伝い
って書いてある。
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