渇いた喉

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放課後。 俺は、会計室に来ていた。 西園寺さんは、パソコンと睨めっこをしていた。 「それでは伊藤君。お願い事とはなんでしょうか?」 「俺、和希にもっと好きになって欲しいんです!」 「そうなんですか?十分、遠藤君は君を愛していると思いますが」 コホンと咳をついてから、西園寺さんがこっちを見た。 「啓太。お前は何か勘違いをしていないか?」 「え?」 「遠藤に夢中になってもらいたいのなら、臣に聞くのではなく努力するべきだ」 「でも…俺には和希を夢中にするテクニックがある訳でもないし…」 「なら、そんな事は臣ではなく、中嶋にでも聞けばいい」 「中嶋さんに?!」 「郁、それは可哀相なのではないでしょうか?」 七条さんは、困った顔で俺を見た。 「わかりました。すみません…」 西園寺さんの言ってる事は確かにそうだ。
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