渇いた喉

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《郁チャン視点》 ぱたん… 啓太が出ていき、臣はクスリと笑った。 「郁、さきほどは伊藤君に意地悪でしたね」 「そうかもな。しかし、私はあくまでも本当の事を言っただけだ」 「伊藤君に焼餅を妬いていたんですね」 クスリと臣は笑う。 本当に臣といると飽きる事はない。 「臣。お前は私のモノだろ」 私の言葉を聞くと、臣は嬉しそうに言った。 「そうですよ。僕は郁のモノなんですから」 《啓太視点に戻る》 「西園寺さんには、ああ言われたけど、一体どうしたらいいんだろ」 生徒会室の前まで来たものの、もう一歩踏み出す勇気がない。 王様に聞いたら「何!遠藤が!そんなん俺が言って鍛え直してやる!」とか言われそうだし。ましてや、中嶋さんだったら「ふぅん。伊藤がそんなに淫乱だったとはな」なんて言われて、エッチに持ち込まれても困る。 「入るか、入らないかはっきりしろ。ドアの前で立ち止まられたら邪魔だ」 後ろから中嶋さんに声を掛けられ、俺はビクッとした。 「す…すみません」 サッと避けると、中嶋さんは無言で生徒会室に入って行った。 「入るなら入れ」 「あ。はいっ」 「王様は…?」 生徒会室の中には、王様の姿が見えなかった。
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