第一章~出会い~

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「……れ……こ……間…」   …ん…誰だよ?……誰でも良いから、寝かせてくれ…俺は…眠いんだ…   「…聞いておるのか!そこの人間!」   声と共に俺の腹部に蹴られた様な衝撃が走った   「ぐっ!げほっごほ!」   吐きそうになるのを堪え(こらえ)、蹴った張本人がいるであろう方向に向直り…   「い、いきなり何しやが……」   「ふん、優しゅう起こしている間に起きなんだ貴様が悪い!」   こんな事を宣う(のたまう)、俺の腹部を蹴ったであろう張本人は、時代錯誤もはなただしたい、十二単(じゅうにひとえ)もかくやと言わん許り(ばかり)の着物を着た、例えるなら、絢爛豪華(けんらんごうか)にして妖艶(ようえん)な、まるで常に月明りを浴びているかの様な美しい女性だった。 …普段の俺なら見惚れるか、気後れして、話しかける事さえ出来そうに無い、そんな女性だったが、その時の俺は、蹴られた事に対する怒りで、まともな精神状態では無く、その女性の美しさなど全く気にもかけなかった…   「だからって、い「そんな事はどうでも良い!貴様か!?封印を解いた愚か者は!?」   人の話も聞かずに質問を被せる様な真似しやがって…親の顔が見てみたいぜ…    「封印?…な、なんだよ?た、ただの紙切れだろ?」   「ええぃ、黙れぃ!我が唯一無二の主、『仕堂 一臣』様の施した(ほどこした)封印の札を、か、紙切れなどと…」   ん?…仕堂 一臣?…同姓同名の奴か?   「その罪、万死に値する!」 「は?ぐわっ!」   不意をつかれ…いや、正面からまともにいっても避ける事は出来なかったであろう、まさに神速と呼ぶに相応しい速度で喉を捕まれ、壁に叩付けられた…   「…何か釈明(しゃくめい)でもあるかえ?」   な、何言ってやがる!喉を捕まれて、話せる訳無いだろうが!
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