第一章~出会い~

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居間に着くなり上座(かみざ)に居座り、さもこの家の主は自分だと言わん許りの態度で   「さぁ!はょう持ってこぬか!わらわを干涸び(ひからび)させて殺す気かぇ?」   …我慢…我慢だ俺…相手は頭の痛い可哀相な女だ…   「…すぐ持ってくるから」   キッチンでお茶を入れる際、…雑巾(ぞうきん)の絞り汁でも入れてやろうか…と、一瞬脳裏に浮かんだが、流石にそれは良心が痛み止めておいた…   お茶とお茶受けの大福を今か今かとお茶を待受ける女性の眼前に置き、下座(しもざ)の席に着座した…   「ほう…お茶受けも用意するとは…なかなか気の利く人間じゃ!」   「……………」   「ん?どうしたのじゃ?」   「な、何でもねぇよ!」   「?…おかしな奴じゃ」
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