神様は悲しむ

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白亜の世界に一人の女性が椅子に座り、涙を流していた。 「なぜ‥‥気付いてはくれない‥‥」 結わえられた長い瑠璃の髪が解けて、床に付いた。 彼女が指を、這わせた。 青々と、誇らしい。そして、優しい印象をあえる癒しの宝玉。 「カルフィーセ‥‥」 背後からの声に女性は、涙を頬へと流したまま振り返った。 「どうして、気付いてはくれないの‥‥」 視線の先には神秘的な白衣を着た隻眼の青年が、悲しげな表情をしていた。 「星が悲鳴をあげて私に呼び掛けるのよ‥‥」 這わせた指先から掌へと、宝玉を抱き優しく胸へと抱いた。 「時を止めてしまえば良かったの?水が枯れて‥‥なのに、見向きもしない種族」 女性の額にある玉から宝玉に光が注がれた。 「種と地(星)との天秤がバランスがもう‥‥」 天秤は、宝玉と同じ青色。 その中心には、鈴。 「もう、再生は不可能な状態‥‥」 控えていた青年が、音のない白亜の世界に青年の足音が響いた。 「カルフィーセ……」 女性の名を苦しげに、呟き青年は強く抱いた。 「逃げたい。この苦しみはもう、いや……」 青年の腕の中で、女性は宝玉を眺めていた。 「……」 まだ、若々しく華奢の身を更に抱き締めた。 「ならば、逃げてしまおう……」 あなたがそれを、望むのならば私は望みままに従う。 そして姿を消した。
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