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相方の様子を横目で見ながら、何もない両手を広げた。
「またかよ!!さっきもこんなんだったぞ!」
肩から降りると、猫耳が怒りに反応してピクピク動く。
「さ、行きましょう」
空だった両手には真っ白い光を神々しく放っている、巨大な鍵。
周辺の殺風景なものから、変わり
目の前には、扉。
「我、狭間の鍵を持つ者。神に使え、移ろいさだまらなぬ力に誓い、鍵を」
さらさらと流れるように、紡がれる言葉。
反応して鍵が浮かび、鍵穴へ。
「闇使いディエール・アロ。主・アルジェリア」
そして、カチンと綺麗な音色が響いた。
「待っていましたよ」
扉の向こう側には、二つの黄色の翼と微笑みを持つ女性がいた。
「なかなか、彼らを見つける事が出来ませんね」
苦笑いを浮べて女性に、答えた。
「ええ、残念なことです。私も全力を尽していますが‥‥」
笑いながら、黒の目には涙が浮かんでいた。
そして、目元にはクマができていた。
「当たり前だ。動力と力が逃げてんだから」
世界を動かす要素の人物がふらりと姿を消して、世界は回転を止めた。
「テメェがしっかりしていれば、止まる事が無かったんだ。卵」
紺色の猫耳と髪色。
「御使いが、こんな仕事は史上初だ」
嫌味を容赦なく言ってみせる、美少年。
「ニャンコのままが、僕的にはいいんですがねえ」
不満そうに、言って見せて仕返し。
「ウザいんだよ」
その瞬間にピコハンマーで、殴りつける。
「ディ、あまり攻めてはダメですよ」
ピコハンマーがはらはらと、真っ白い床に舞う。
手に残ったのは、持ち手のみ。
「惚れてる女の前だと――」
伸びた前髪がはらはらと舞う姿が目の前で確認できた。
「口は、災い元ですよ。ディ?」
そして空間の歪み、入口が現われた。
「誠において駆ける、かれの名――純心無垢の名を持たない者。月と、太陽により想像された神の片割れ――御使い」
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